自分たちの年収で、建てられる家は?

家づくりを考え始めたら、自分たちの年収で果たしてどんな家が建てられるのかは誰もが気になるところ。そこで、年収によって大体どのくらいの予算を組めるのかを考える上での目安や考え方を紹介。目安を知った上で、自分たちの家計収支や将来設計をあてはめながら、安心の資金計画を立ててみよう。
(本記事の内容は、2017年時点のものです)
家づくりの先輩たちの年収はどのくらい?

【平均年収は485.1万円。400~500万円台が最も多い】
共働き世帯も多く、世帯収入は増加傾向。とはいえ、特に堅実層は夫婦の収入を合算せず、あえてご主人のみの収入で無理なく返済できる資金計画を立てているようだ。
自分たちのマイホーム予算を考えよう

予算を決める大きな要素は「年収」であり、「私たちの年収ならどのくらいの予算が組めますか?」という声もよく聞く。とはいえ、年収だけで予算を決めてしまうと後悔することにもなりかねない。そこで、年収を始め、貯蓄額や将来のライフプランをふまえて無理のない予算を立てるポイントを紹介する。
STEP1 マイホーム予算の考え方を知ろう

【マイホーム予算は、自己資金と無理なく返済できる住宅ローンの借入額で計算】
マイホーム予算は、まず自分たちが家づくりのために使えるお金「自己資金」と、無理なく返済できる住宅ローンの借入額をもとに考えるのが一般的だ。そして、多くの方が気になっているのは「自分たちの年収でいくら借りられるか?」ではないだろうか。金融機関が住宅ローンの融資額を決める際に最も参考にするのは借りる方の年収だが、適用される金利や返済期間によっても借入可能額は変わってくる。自分たちの借入額を考えるために、
まずは「返済負担率」と「金利」、「返済期間」という3つのキーワードを押さえておこう。
STEP2 年収ごとの 借入可能額を見てみよう

住宅ローンの借り入れはほとんどの方にとって初めての経験。何千万というお金を借りるので、不安に思う方も多いだろう。借りられる金額は、年収だけでなく、借りる方の年齢や職業、勤務先などによっても大きく異なるが、ここでは目安として、返済負担率25%、全期間固定金利1.5%、返済期間35年で借りた場合の年収ごとの借入可能額の概算金額とそれを借りた際の毎月の返済額、利息分を含めた総返済額を見てみよう。
【重要なのは借りられる金額ではなく毎月の返済額】
年収から借入可能額を計算すると、思いのほかたくさんのお金を借りられることがわかる。しかし、金融機関が貸してくれるからと言って、それが返済できる金額とは限らない。上表で見るべきなのは、借入可能額よりも「毎月返済額」。例えば年収500万円の場合、3,402万円を借りて、毎月104,163円を返済する試算になっているが、果たして35年間、この返済額を安定的に支払っていけるだろうか?重要なのは「いくら借りられるか?」ではなく「毎月いくらなら無理なく返済できるか?」なのだ。今度は毎月の返済可能額を考えることから、借入額を見ていこう。
毎月の「返済可能額」を考えてみよう

自分たちが毎月、どのくらいの金額を住宅ローンの返済に充てても大丈夫なのかを、今の家賃や建てた後にかかるお金をふまえて計算してみよう。
STEP3 毎月返済額から借入額を見てみよう

【住宅ローンは借りられる金額ではなく返せる金額で計算するのが鉄則】
住宅ローンの借入額は、年収を元に金融機関が貸してくれる金額ではなく、自分たちの今の家計収支をふまえて、無理なく安心して返済できる毎月の返済額を考えて算出することが大切。毎月返済額ごとの借入可能額は金利や返済期間、金利タイプによって変わり、金利は金融機関によって異なるが、ここでは全期間固定金利1.5%で借りた場合の借入額を、25年と35年の返済期間ごとに見てみよう。
返済期間は家計収支と返済額のバランスが重要

たとえば毎月の返済額を7万円とすると、返済期間が25年の場合は1,750万円、35年の場合は2,286万円となる。返済期間が長くなれば、同じ毎月返済額でも借入額は多くなるが、当然、支払利息も多くなる。短くすれば毎月返済額は高くなるが、支払利息は少なくてすむ。安心な返済計画にするためにも退職までに完済できる期間を基本に考えたい。貯蓄をふまえて繰上げ返済が可能なのであれば、その点を考慮して返済期間を決めてもいい。住宅ローンはマラソンと同じ。完済というゴールまで走りきれる安心な計画を立てることが大切だ。
STEP4 自己資金を計算してみよう

【自己資金は総予算の3割が目安】
自己資金は現在の貯蓄額から手元に残すべきお金を差し引いて算出する。親などからの援助資金があるなら、それも加える。そして、この自己資金から現金で支払う引越しや家具・家電の買い替え、土地の手付金や各種税金、手数料などの諸費用を引いた残金が「頭金」ということになり、総予算の2割が目安となる。低金利の今、頭金なしでローンを組む人も多いが、これは非常にリスクが高い。頭金なしでは借入額が増えるし、頭金なしの場合はある場合より高めの金利が適用されることがある。十分な自己資金がない状態で「ローンを組めばいい」と安易に考えるのはNGだ。
家づくりの先輩たちの自己資金額はどのくらい?

【200万円までが36%、1000万円超が20%と二極化傾向】
住宅ローン金利の低水準が続いていることもあり、自己資金として貯金を出したり、貯金が貯まるのを待つよりも借りた方が税制優遇などの面からもお得、と考える傾向も。一方で、住宅ローンは極力利用したくないと1000万円以上の自己資金を準備している方も多かった。
STEP5 自分たちのマイホーム予算を計算してみよう

ステップ3、ステップ4で計算した自己資金とローン借入額を上記に記入して、あなたのマイホーム予算を計算してみよう。実際の家づくりでは総予算の8~10%の諸費用が必要になるので、自己資金とローン借入額の合計を1.1で割った金額になる。
生涯にわたって無理のない資金計画になっているかチェック
【年収は同じでも、家庭によって無理のないマイホーム予算は違う】
金融機関が住宅ローンを貸し出す際に基準とするのは、あなたの今の年収。しかし、同じ年収でも人それぞれ使い方は違う。単に年収から借りられる金額を判断するのではなく、家族構成や将来の計画、現在の家計収支など、これからの家族の生活を見据えて“ライフプラン”を立て、その上で自分たちが無理なく返済できる借入額を考えよう。家は家族が幸せに暮らすために建てるもの。住宅ローンの返済に追われて生活が楽しめないようでは本末転倒だ。金融機関が貸してくれるからと言って、それがあなたの「返せる金額」ではないことを忘れないで。
●お役立ちツール
借入額シミュレーター
返済額シミュレーター
【予算がすべてではない】
マイホーム予算の考え方を見てきたけれど、予算だけで建てられる家が決まるわけではない。住宅会社の選び方や建物の大きさ・形状、プランの内容によっても異なってくるし、土地を購入して建てる場合には、予算を建物と土地にどのように分配するかによっても出来上がる住まいは人それぞれ異なったものになる。まずは無理のないマイホーム予算を考え、自分たちの住みたい場所や建物の希望などを明確にし、その予算の中でそれを実現するために、どんな住宅会社を選び、どんな家を建てればいいのかを検討していこう。