すっきり暮らすための収納術

家の要望として多くの人が挙げる「収納」。でも、ただ収納がたくさんあればいいわけでもありません。後悔しないために押さえておきたい収納プランのポイントを見てみましょう。
収納はあればあるだけいい? 適材適所、使い勝手のよさがポイント。
収納が欲しい!という目的は、“いつもキレイですっきり片付いた家をキープすること”ですよね。その目的を満足いくようにかなえるためには、プランの打ち合わせ時に、ポイントを明確にすることが大切です。「収納がたくさんほしい」と伝えるだけではなく、次の3ステップをしっかり押さえて、自分たちにぴったりの収納プランを作っていきましょう。
STEP.1 自分のタイプを知ろう ハンガー派?引出派?

自分にとって使いやすい収納のタイプがありますよね。例えば衣類の収納なら、何があるか一目でわかるハンガーにかけたい人もいれば、引き出しに収納したい人もいるでしょう。普段、自分がどんなふうに収納しているかを思い浮かべてみることは、ちょっとしたことのようですが、収納プランを考えていく上で、意外と役立ちます。
STEP.2 持ち物と収納したい場所を把握しよう

自分がどんなものを持っていて、どこに収納したいのかを考え、今、何が片付いていないかを書き出してみましょう! 物がいつもどこにあるかの定位置を決めると「どこに、どのような収納を作ればいいか」が見えてきます。合わせて、上記のチェックをする中で「これは不要なだな」と思ったものがあれば、新築を機に断捨離するのも有効な一手です。
STEP.3 収納<予算 費用対効果で考えよう

収納の値段は、シンプルなもの→細かく仕切るなど手の込んだものになるほど上がっていきます。予算を考慮するなら、ここも発想ポイントのひとつ! 例えば、棚だけのシンプルなタイプの収納を選び、「購入費を抑えつつ、自分で好きに仕切って使う」というアイデアも。今持っている家具を捨ててしまわず、新しいWICやパントリーの中に内に置いて活用すると、さらに使い勝手が良くなりますね。
TOPIC 収納はどのくらいあればいいの?
収納の形やサイズは多種多様で、どれくらい収納できるかも一概にいえませんが、「衣類だけで、1人1帖分の収納スペース」が目安になります。衣類以外の物も収納するためには、倍の2帖(約1坪)が必要と考えると良いでしょう。収納スペースに必要な広さを床面積に占める割合でいうと、12~13%程度が一般的です。
間取りからわかる!キレイがキープできる収納プランニング①

収納プランニングで重要なのは、「何をどこで使い、どこに収納するかを明確にする」「必要な大きさ、量の収納を作る」こと。また、家族みんなが片付けやすいように、物を使う動線上に収納を確保することも大切です。
では、使い勝手のよい収納プランとは、具体的にどういったもの? ここからは、実際の間取りでチェックしてみましょう。
子ども部屋/クローゼット
1帖弱のクローゼット。成長とともに持物が増えてもカスタマイズできるタイプを。
寝室クローゼット
夫婦でも、収納しやすいやり方は違うもの。それぞれで使いやすいように、奥行91cm、約1帖の専用クローゼットを設置。棚やパイプだけのシンプルな作りのものを選び、内部を仕切ったりハンガーを活用したりと、自分の使い勝手にあわせてアレンジ。
小屋裏収納
階段で上るタイプの小屋裏収納もあリますが、こちらは2階の寝室から階段なしで出入りできるタイプ。出し入れが楽なのがポイントです。5.1帖と広々で、年に数回しか使わない季節の物などを収納すると便利。
間取りからわかる!キレイがキープできる収納プランニング②

玄関
玄関右に約1帖の土間収納を配置。普段よく履く靴は、出し入れしやすいよう玄関脇の下駄箱に収納。
和室
約1帖の押入を設けると、来客用の座布団や、隣接するリビングで使う物もしまえて便利。押し入れにハンガーパイプを設置すれば、服も収納できます。
トイレ
壁や手洗いカウンター下に収納棚を設置。トイレットペーパーや掃除道具を片付けられるので、すっきりとした空間に。
リビング
デッドスペースを活用した91×91cmの収納を。掃除機などがすぐに取り出せ、すぐに使えます。
洗面・脱衣室
ここには棚タイプの収納を。タオルや化粧品など、よく使うものを取り出しやすいです。さらに、洗濯機、干し場、収納を一直線に配置すると、洗濯→干す→しまうを効率的に行え、家事の負担を軽減できます。
キッチン
キッチンには、背面棚、1.7帖のパントリー、床下収納と、しっかり収納を設けることができます。勝手口から収納への動線も確保するとよいです。
お手本にしたい!岡山の部屋別アイデア実例
家族構成や住宅環境によって収納の仕方は十人十色!キッチン、リビング、玄関、寝室など、部屋ごとのいろんな収納プランをご紹介。先輩の実例を参考にしてみて
洗面・脱衣室

洗面台は小さな物があふれ、雑然としがち。物の定位置を決め、片付けやすい収納にすることで清潔感あるスペースに。
リビング

広く見せたいから極力家具は置きたくないけど家族の物があふれて散らかってしまうもの。大きな収納のある和室を隣接させ、よく使うものは「ここにしまう!」と収納場所を決めることで、すっきりと片付きます。
キッチン

生活感が出る家電・食器を隠したい!という場合は、背面収納やパントリーがおすすめです。勝手口のそばにパントリーがあれば、家事動線も楽になります。
玄関

玄関は、住まいの顔ともいえる大切なスペースですが、意外と物があふれがち。プランとしては「来客用と家族用の玄関を分ける」というパターンがあります。合わせて、玄関奥に大容量の土間収納を設けることもできるので、靴やベビーカーなど大型の物も収めることが可能です。
和室

和室は、リビングに隣接して設けることが多いですが、収納力たっぷりの押入をつけられますよね。そうすることで、和室の収納を活用してリビングも片付けることができます。上の写真のように、押入もタイプは様々なので、使い勝手やデザインなど、自分たちに合うと思うものを選びましょう。
子ども部屋

子ども部屋は、子どもが自分で片付けやすいようにプランを考えましょう。持ち物の定位置を子どもと一緒に決めながら、収納計画を立てるといいですよ! 成長につれて物も増えるものなので、当初から収納は多めに確保しておくとよいでしょう。
ウォークインクローゼット

WICは、奥さま用、ご主人用で個別に作ると、自分に合った使い方ができます。または、収納を広めに確保して、収納としてだけでなく身支度もそこでできるようにするパターンもあります。
その他

奥行きがある階段下や小屋裏の収納スペースには、可能なら照明を付けておくと、使いやすさが格段にアップします。薄暗くて使いにくいために、せっかくの収納スペースを生かしきれない……よりは、照明を設置して毎日気軽に使える空間にしておいて損はないかもしれません! また、上記の他に、多目的に使えるユーティリティスペースを設ける場合もあります。そういったケースでは、スペース内に造作棚を設えるという方法もあります。
ちょっとしたスペースも収納にできる!

居住空間を確保するためには、収納に十分な広さがとれない、という場合もありますよね。そんな時に取り入れたいのが、上の写真のように、壁面や足元などを有効活用してニッチや造作棚を設えたり、キッチンカウンターにラックを作ったり、というアイデアです。「見せる収納」になるので、ディスプレーを意識して活用すると、日々の暮らしに楽しさもプラス! また、「カウンターの足元」は、意外と見落としているかも? 棚や引き出しを置けば収納力が倍増します。ぜひ注目してみてください。
(監修:株式会社 木絆/一級建築士 守屋 知香)