いくらかかるの? リフォーム費用

「使いづらいキッチンを最新式に交換したい」といったスポット的なものから、「狭く仕切られた間取りを開放的な空間にしたい」など家全体を新しく生まれ変わらせる大規模なものまで、夢のふくらむ「リフォーム」。けれど、意外とわからないのが「お金」の話。ここでは、そのポイントを見ていきましょう。リビングの改装や水廻りリフォームなど、箇所別の気になる費用相場も紹介します。
費用の内訳を知ろう

注文住宅の場合、一般に下記が総費用の目安になります。
本体工事費(総費用の約70%)+別途工事費・諸経費(同・約30%)
リフォームの場合も、設備・建材代と工事費(直接工事費)の他に、見積で必要な費用(必要な場合のみ。図中の①)とその他の費用(共通費。図中の②)の総額が必要となります。
直接工事費
材料価格と施工費(人件費)。
- 材料価格 : システムキッチンなどの設備や床材などの費用
- 施工費 : 解体撤去費用、設備取り付け工事費、仮設工事費、廃材処分費など
見積で必要な費用(①)
見積もりは一般的に無料ですが、耐震診断(※1)には一般的に費用がかかります。県の補助制度もあるので、詳しくは市町村の窓口で確認しましょう。
共通費(②)
管理費や諸経費など。管理費は「一般管理費」と「現場管理費」を合わせたもの。詳しくは後ほど解説します。見積書の記載方法は会社により異なるので、分からない部分は説明してもらいましょう。
~注意!~
ショールームなどで設備の実物を見ると、よりグレードの高い、機能の充実した高価なものが欲しくなるもの。
けれど上に書いたように、設備・建材の価格の他に、施工費、管理費や諸経費が必要になることを忘れずに。予算オーバーにならないよう、総額をふまえてしっかり計画しましょう。
(※1)耐震診断とは
現行の耐震基準は、1981年(昭和56年)に旧基準を見直し、強化されたもの。そのため、それ以前に建てられた住宅は、現在必要とされている耐震性能を確保していないものがあります。
この既存建築物の耐震性を、現行の耐震基準で確認するのが「耐震診断」です。診断の結果、耐震性が不足していれば、耐震補強を行うようになります。
小学校や病院、規模の大きな商業施設などでは、法的な義務として定められていますが、個人の住宅については努力義務となっています。けれど、自治体では安全なまちづくりを目指すため、補助制度を設けて後押ししています。
直接工事費の内容は?
直接工事費は、見積書では「木工事」「内装工事」など工事内容ごとに項目を分けて記載されていることが多い。それぞれどんな工事内容なのか確認しておきましょう。
【見積もり書の用語集】
- 木工事 : 大工さんが行う工事のこと。柱や梁を組む、床や天井を貼る、断熱材を施工するなど
- 仮設工事 : 足場を設けたり、養生シートで保護するなど、作業をスムーズにするための工事
- 住設工事 : キッチン・浴室・洗面台・トイレなどの設備機器代と、取付工事
- 内装工事 : 壁面や天井の塗装やクロス貼りなどの仕上げ工事
- 給排水工事 : キッチンやトイレ、洗面室などへの給湯・給水と排水の配管工事
- 左官工事 : 壁や床などの仕上げに壁土や漆喰などを塗装する工事
- 建具工事 : ドアや引き戸、障子や収納扉、サッシなどの工事
- 雑工事 : 他に分類されないちょっとした造作家具や手すりなどの工事
諸経費とは?
諸経費とは、次のものです。
- リフォーム工事の現場で発生する現場管理費
- 工務店の事務所で発生する一般管理費
- 交通費や通信費、各種保険料など
金額の目安は、多くの場合、工事費の約10~15%前後になります(中小企業庁の統計による)。
【一般管理費の内容】
- 事務用品費 : 事務用品消耗品費、固定資産に計上しない事務用備品費、新聞参考図書等購入費
- 通信交通費 : 通信費、交通費および旅費
- 動力用水光熱費 : 電力、水道、ガス等の費用
- 調査研究費 : 技術研究、開発等の費用
- 減価償却費 : 建物、車両、機械装置、事務用備品等の減価償却額
- 租税公課 : 工事契約書等の印紙代、申請書、謄抄本登記等の証紙代、固定資産税、自動車税等の租税公課
- 保険料 : 火災保険その他の損害保険
- 契約保証費 : 契約の保証に必要な費用
- 雑費 : 社内打合せ等の費用、諸団体および他の一般管理費科目に属さない費用
【現場管理費の内容】
- 租税公課 : 工事契約書等の印紙代、申請書、謄抄本登記等の証紙代、固定資産税、自動車税等の租税公課、諸官公署手続き費用
- 保険料 : 火災保険、工事保険、自動車保険、組立保険、賠償責任保険および法定外の労災保険等の保険料
- 施工図等作成費用 : 施工図等を外注した場合の費用
- 通信交通費 : 通信費、旅費および交通費
- 補償費 : 工事施工に伴って通常発生する騒音、振動、濁水、工事用車両の通行等に対して、近隣の第三者に支払われる補償費。ただし、電波障害等に関する補償費を除く
- その他 : 会議費、式典費、工事実績の登録等に要する費用、その他上記のいずれにも属さない費用
(※財団法人 経済調査会発行「積算資料ポケット版 リフォーム2015」より)
リフォームにかかる お金あれこれ
リフォーム時には、上に挙げたものの他にも、必要になってくるお金があります。例えばリフォーム中の仮住まいの費用。大規模なリフォームとなると、住みながら工事するのは難しいため、仮住まいの家賃や引越費用の他、家具などをトランクルームなどに一時保管するための費用が必要になる場合があります。
また、リフォームした部屋に合わせて家具やカーテン、照明等を新調する場合には、その購入・取付費用ももちろん必要になります。
税金や各種手数料も忘れてはいけません。例えば、工事請負契約時の「印紙税」。住宅ローンを借り入れする場合は、事務手数料や保証料がかかります。また、大規模なリフォームになると建築確認申請の手続き費用もあります。
こうしたリフォーム時に想定される費用をふまえて、無理のない資金計画を立てておくことが大切です。
部位別のリフォーム費用相場を知ろう
自分たちの希望するリフォームが大体どのくらいかかるのかが分かれば、総費用のめどが立ち、計画も進めやすくなります。ここから、一般的なリフォーム費用の相場をご紹介します。金額の目安として参考にしてみてください。
※金額や内容はあくまでも目安です
※建物の状態、導入する設備のグレードや機能、施工方法、工事面積等によってかかる費用は異なります
水回りリフォーム

水回りは経年劣化が進みやすい場所。状態によっては、設備だけでなく内装改修や給排水管の交換などを合わせて行うことも検討したいものです。金額は、設備価格、設置・配管工事費用、解体・撤去・廃材処分費用、壁や床などの内装補修、給排水管の交換費用等も含めています。
トイレ 10~50万円
古い便器を新しいトイレに交換した場合の目安金額。なお、和式トイレを洋式トイレに交換する場合は、一般的に便器が一段高い位置にあるため段差を解消する工事が必要になります。暖房・温水洗浄機能付トイレにする場合コンセントの設置と配管工事が必要になります。ともに、目安金額は50~100万円になります。
洗面室 30~50万円
古くなった洗面台を新しい洗面台に交換した場合の目安金額。必要な機能や収納等を組み合わせることで設備価格が変わり、費用も大きく変わります。
浴室 100~150万円
在来工法の古い浴室を解体し、ユニットバスを設置した場合の目安金額。また浴室リフォームでは、より快適・安全に使えるよう、バリアフリー対策として、手摺の設置や滑り止めなども検討したいものです。
キッチン 70~150万円
間取りは変更せず、使いづらくなったキッチンを新しくシステムキッチンに交換した場合の目安金額。キッチンの間取りを変更する場合は、電気、ガス、換気ダクト等の移設工事が必要になる場合もあります。壁でリビングと仕切られた独立キッチンをリビングとつなげる場合は、壁の撤去が必要になるため、300万円程度が目安。アイランドキッチンにするとさらに金額は上がります。
外観リフォーム

雨・風にさらされているため傷みやすい屋根や外壁。リフォーム方法や使う材料によって、金額も耐久年数も、また性能も変わってきます。建物を守る重要な部位なので、金額だけでなく内容をしっかり検討しましょう。
屋根 80~100万円
屋根を塗装した場合の目安金額。使う塗料によって金額と耐用年数が異なります。基礎部分の下地が傷んでいなければ塗り替えで対応できますが、築年数が経過している場合は葺き替えた方がよい場合も。屋根材によりますが、葺き替え費用の目安は100~200万円。
外壁 150~200万円
外壁を塗装した場合の目安金額。塗料によって金額も耐用年数も異なります。外壁材によりますが、張り替え費用の目安は150~300万円になります。
バリアフリーリフォーム

これからも末永く家族みんなが快適、健康に過ごせる家にするためのリフォーム。段差の解消だけでなく、生活動線や温熱環境の改善も考えたいものです。
バリアフリーリフォームで必要と思われる工事を全面的に実施した場合の目安金額は70~500万円です。建物の状態や工事の内容、範囲によって金額は大きく異なります。
工事の内容は次のような項目になります。
- 手すりを取り付ける
- 部屋ごとの段差を解消する
- 車椅子でも移動しやすいよう廊下やトイレの幅を広くする
- 和式トイレを誰もが使いやすい洋式トイレに交換する
- 開き戸を引き戸に交換する
- 屋外への出入りがしやすいようスロープを設置する
家の中でスムーズな動きができるよう生活動線を見直し、必要に応じて間取り変更をしたり、健康に過ごせる室内温度を保つため、断熱性能を向上させたりするリフォームを行うのもよいでしょう。
空間リフォーム

細かく仕切られた間取りを一続きの開放的なLDKに。和室を使い勝手の良い洋室に……など、空間自体を変えるリフォーム。ライフスタイルや家族構成の変化にあわせて考えましょう。
リビング・ダイニングの改装 50~100万円
12畳のリビング・ダイニングの床、壁、天井の内装工事、扉・照明の交換、エコ内窓の新設等を実施した場合の目安金額。6畳の洋室と6畳の和室を一続きのリビング・ダイニングにするなど、間取りを変更する場合は100~200万円が目安となります。
壁紙(クロス)張り替え 50~70万円
3LDKの空間すべてのクロスを張り替えた場合の目安金額。使う壁紙材や面積により金額は大きく変わりますが、一般的な壁紙・クロスであれば6帖なら8万円前後、12帖なら15万円ほどが目安。ちなみに壁紙の寿命は通常10年ほどです。
和室を洋室に変更 60~100万円
6帖間の和室を洋室に変えた場合の目安金額。畳をフローリングに変え、床の間と押入れはクローゼットに改装。建具も引き戸に交換し、使いやすくした場合の目安です。なお、畳を新調する費用は6帖で10万円ほどが目安。
大切なのは費用と内容のバランス
リフォームは既存の建物を修繕するため、建物の築年数や状態、要望の内容などによって、かかる費用は大きく異なるものです。
リフォーム前には必ず建物を見てもらった上で要望を伝え、見積もりを取りましょう。数社に同じ条件、要望を提示して見積もりを依頼すれば、費用の目安や会社ごとの違いがわかり比較しやすくなります。比較する際は、図面と見比べながら、使用する設備や材料が希望に沿ったものになっているか、費用は適正かをチェックしましょう。
大切なのは、費用と内容のバランスが取れていること。長く安心して住める家にリフォームするためにも、金額だけでなく中身をしっかり確認して進めてください。相場を把握して、納得のリフォームを始めましょう。
関連記事
・経験者に聞く リフォームの成功例&失敗例
・2019年版 ビフォーアフターで見るリフォーム実例
・リフォーム検討に役立つ! 岡山のリフォーム間取り実例30選