知っておきたい 住宅性能の用語 基礎知識(2)~パッシブデザイン~

「パッシブデザイン」についてみていきましょう。こちらも、家の根本的な性能に関係する、重要な部分になります。
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パッシブデザインとは?
建築でいう「パッシブ」とは、太陽や風、水、地熱といった自然エネルギーを活用して、室内環境を快適にする技術や仕組みをいいます。
「パッシブデザイン」とは、(1)断熱、(2)日射遮蔽、(3)通風、(4)昼光利用、(5)日射熱利用暖房の5つを建物に組み込む設計技術のことです。
建物の断熱性能を高め、太陽の光や風の力を最大限に活用し、明るさや暖かさ、涼しさ、そして常に新鮮な空気が得られるよう建物を設計。エネルギーの消費量を減らしながら心地良く暮らすことができます。
それでは、上に挙げた5つの言葉について、みていきましょう。
断熱

「断熱」は、パッシブデザインのベース、基礎となるものです。冬の暖房した室内の暖かい熱が建物外部へ逃げたり、夏の冷房した室内へ外の熱が入ってくることを防ぐ手立てのことをいいます。つまり、「熱の移動」を断つということです。
ではどうやるのかというと、人がセーターを着るのや魔法瓶の仕組みと同じ。床や外壁、天井や屋根など、住宅全体で外気に接している部分を「断熱材」で隙間なくすっぽりと包み込みます。
セーターに穴が開いていると寒いのと同じで、建物に隙間があると暑い空気や寒い空気が入ってきて、意味がありません。
したがって断熱は、「気密」ともセットです。これが、よく聞く「高気密・高断熱」です。
外壁、屋根(天井)、床、窓の4ヵ所の断熱性能を高め、建物全体の保温性能を上げます。特に冬の暖房は、エネルギー消費量が多いため、断熱性能を高めることによる効果は大きく、大幅な省エネにつながります。
日射遮蔽

「夏涼しく」を実現するには、何が必要でしょう。昔ながらの簾や、現在なら日よけシェードやシェードカーテンといったものがありますが、そう、何よりまず日射を窓から室内に入れないことが大切です。
夏に室内に入ってくる日射熱のうち、70%程度が「窓」からだと言われているほどです。この日射熱をカットできれば、冷房に使うエネルギーを大きく削減しつつ、涼しく過ごすことができます。これを「日射遮蔽」といいます。
- 軒や庇(ひさし)をしっかりと張り出させた建物にする
- 日射遮蔽に効果のある窓ガラスを使う
- 窓の内側にはカーテンをつける
- 窓の外側には、ルーバー雨戸や外付けブラインド、シェードや簾など、日射を遮る装備をつける
- 庭に、冬には葉を落とす落葉広葉樹やグリーンカーテンを植える(冬は日射しを通し、夏は遮る)
日射角度は季節ごとに変化しますので、軒や庇については、日射角度をふまえて長さや角度を設計することが大切です。それにより、夏は直射日光が入るのを遮り、逆に冬は取り入れて暖かさを確保することができます。
通風

パッシブデザインにおける「通風」とは、家全体に自然の風を行き渡らせ、室内に溜まった熱を排出することです。主に次のようなポイントを考えて、窓などの設計を行います。
- どの方向から風が吹いても風が通るように設計する
- 外気温が低い時間帯や涼しい日陰にある窓から風を取り入れられるようにする
- 家の中での風の通りを考えて、窓を配置する
風は、進行方向で何かにぶつかっても方向を変えて進む性質があります。そこで、風向きにあわせて互い違いに開く縦すべり出し窓を設けたり、袖壁(建物の外部に突出した壁)の形を工夫したりすることでも、風を室内に誘導することができます。
昼光利用

照明器具をできるだけ使わずに過ごせたら、消費エネルギーは当然少なくてすみますね。建物内に昼間の太陽光を最大限に取り込み、照明器具に頼らず明るさを確保することを「昼光利用」といいます。
具体的には、天窓やトップライトを設けたり、中庭から各部屋に光を取り入れる窓をつくったりといった設計を行います。
敷地条件により光が十分に届かない場合は、南側のベランダや庇で反射させた光を室内の奥まで導くようにしたり、部屋の壁を明るい色にして光が反射しやすくするなどの工夫が可能です。
日射熱利用暖房
日射遮蔽で、窓から入ってくる日射熱は大きいということにふれました。冬に、この「窓からの熱」をできるだけ取り込んで利用するのが「日射熱利用暖房」です。
日射熱利用暖房を実現するためには、3つのポイントがあります。
- 集熱 : 日射熱を取り入れる
- 断熱 : 日射熱を逃さない
- 蓄熱 : 日射熱を蓄える
この3つを実現することで、暖房に頼らなくても室温の変動が小さくなり、省エネな暮らしにすることができます。
集熱は、南向きの窓を増やすことなどで行い、蓄熱は、建物の基礎のコンクリートを利用したり、床や壁・天井などに蓄熱効果のある材料を使用するなどの方法があります。
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